パン屋の居抜き物件活用法|開業準備中のあなたへ

居抜き物件

パン屋開業を考えている方にとって、居抜き物件という選択肢は魅力的です。

初期費用を抑え、短期間でオープンできる可能性、既存設備や立地を活かせる利点などが山ほどあります。

ただし、慎重な見極めも重要です。

この記事では、数字と経営者の思いを交えながら、居抜き物件の活用方法を専門家の視点で優しく丁寧に解説します。

居抜き物件とは?

居抜き物件の探し方

居抜き物件とは、前店舗が使っていた厨房設備や什器、内装などがそのまま利用できる状態の物件を指します。

これにより、開業資金と時間を大幅に節約できます。

条件の合う居抜き店舗に出会いさえすれば、かなり開業しやすくなります。

居抜き物件にはどんな魅力があるの?

機材をそのまま利用できる

初期投資を大幅に削減できる

パン屋をゼロから開業する場合、内装工事や厨房機器の購入に1,000万〜2,000万円以上かかることがあります。

しかし、居抜き物件ならオーブンやミキサー、発酵器、ショーケースなどがそのまま残っていることが多く、数百万円規模で費用が抑えられます。

節約できた分を「原材料の仕入れ」「広告宣伝」「人材採用」に回せるのは大きな魅力です。

開業までの期間が短縮できる

通常、パン屋を新規で立ち上げる場合は設計から工事まで3〜6か月ほどかかります。

居抜き物件なら内装や厨房がすでに整っているため、清掃・軽微な修繕で済むことも多く、最短1〜2か月でオープンできるケースもあります。

「早く売上を立てたい」「ライバルが少ない時期に開店したい」という方にとって、スピード感は大きなメリットです。

実績のある立地を活用できる

居抜き物件の多くは、すでにパン屋や飲食店として営業していた場所です。

そのため「人通りがある」「駐車場が利用しやすい」「住宅街に近い」など、飲食店に適した立地条件が整っていることが多いのです。

ゼロから場所探しをするよりも、実績のある場所を活用できる安心感があります。

設備・什器のセットアップが楽

パン屋の開業で一番大変なのが厨房設備の導入とレイアウトです。

居抜きでは、すでに「動線」が組まれているため、ミキサーからオーブン、冷却棚、販売エリアまで効率的に配置されています。

専門的な工事や設備設計の負担が少なく、開業準備に集中できます。

地域に根付いた店舗の雰囲気を活かせる

居抜き物件には、その地域の住民にとって「親しみのある店舗イメージ」が残っています。

前店舗の雰囲気を適度に残しながら、新しいブランドカラーを打ち出すことで「懐かしさ」と「新しさ」を両立した店舗づくりが可能です。

これは完全新規店舗では得られない、居抜きならではの強みです。

交渉次第でお得にスタートできる

居抜き物件の中には、前店舗オーナーが「早く譲渡したい」と考えているケースもあります。

その場合、設備譲渡価格や保証金を大幅に下げられる可能性があり、交渉力次第でさらに開業コストを抑えられます。

つまり居抜き物件は、

  • 費用面の軽減(投資効率UP)
  • 時間面の短縮(早期オープン)
  • 立地・設備の有効活用(安心感)

この3点がそろった、非常に実用的な選択肢といえます。

メリットと注意点を数字と感情で理解しよう

チェックしよう

居抜き物件には魅力がある反面、注意も必要です。

しっかりと見極めることが大切です。

気にかけておく必要があるポイントはこちらです。

リスクと見極め

  • 前店舗の経営理由確認が重要:前店舗が閉店した背景(立地、認知度の不足など)を確認しないと、同じ失敗を繰り返す危険があります。
  • 設備の状態チェックを徹底:完備されている設備でもそのまま使えない場合があるため、事前確認が必要です。
  • 賃料・駐車場などのコスト管理:居抜きでコストが抑えられても、家賃や駐車場の費用は月間売上の5%〜10%以内が理想とされます。

ラーメン屋の跡地にラーメン屋が入ることをよく見かけます。

実は、何店舗もラーメン屋さんが入れ替わっていたりします。

そのような場合は、近隣住民からは「どんなラーメン屋が入ってもすぐ変わる場所」と刷り込まれてしまっている場合もあります。

そうなると、次の新店舗への関心が低くなる傾向があるので、十分なリサーチが必要です。

居抜き物件を活用のした時の開業の流れ

  • 条件の整理(資金・立地・設備)
  • 居抜き物件の探索
  • 現地チェックと設備状態確認
  • 契約交渉(賃料・設備譲渡)
  • 内装微修正・清掃
  • 開業準備・許可取得
  • グランドオープン

この流れを意識することで、効率的に進めることができます。

特に「現地チェック」では、電力容量や排水などパン屋営業に不可欠なインフラの確認を忘れないことが重要です。

居抜き活用の事例

実際に居抜きを活用した事例として以下の案件があります。

事例1

パンケーキ店として営業していた約10坪の居抜き店舗が、約120万円で2か月以内に譲渡されました。

立地は代官山駅徒歩1分という好条件です。

厨房機器はリース中で、リース契約の引き継ぎも含めた譲渡でした。

  • 駅近で人通りの多い1階店舗という希少性
  • リース中の厨房機器も引き継がれ、売主の負担を軽減
  • 造作譲渡も整理され、短期成立

事例2

通常、造作譲渡には費用がかかるところ、出店者が熱意や資料提案で説得した結果、造作譲渡を0円で実現した事例があります。

元店舗がすでに解約告知をしており、大家にも解体コストがかかるケースで交渉が成功しました。

  • 出店者による丁寧な資料準備と交渉が鍵
  • 出店意思の強さが大家の心を動かした

他にも複数の不動産仲介業者や居抜き情報サイトで紹介されている事例によると、以下のような傾向が見られます。

  • 居抜きの設備を活用し、初期費用を大幅に節約し短期間で開業できたケース(参考サイト:abc店舗)。
  • 厨房や什器の譲渡で工期やコスト負担が軽減され、その分マーケティングや仕入れに資金を回せた事例(参考サイト:テナントリノベ)。

これらは「居抜きだからこそ」実現できた成功の形です。

居抜き活用の成功ポイントまとめ

パン屋の居抜き
  • 希望条件を明確にする:立地、資金、開業時期などを整理しておくことが重要です。
  • 物件の現状をしっかり確認する:設備や内装が本当に使えるか、前店舗の閉店理由を調査することが信頼につながります。
  • 専門家や仲介サイトを活用する:経験豊富な仲介業者や居抜き情報サイトを使うことで、良質な物件を効率的に探せます。
  • コスト管理に注意する:家賃や駐車場費用は月間売上の10%以内に抑えるのが安心とされています。

まとめ

居抜き物件を活用することで、パン屋の開業は「時間と費用を抑えたスタート」が可能になります。

一方で、前店舗の経営背景や設備の可用性をしっかりと見極める姿勢も必要です。

開業準備中の皆さまが、理想の立ち上げを実現できることを心から願っています。

持っている情報量が成功への距離に影響しますので、居抜きをお考えの方は、さまざまな角度から情報を収集すること、一人で考えずに経験者や専門家に相談することをおすすめします。

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この記事書いた人


BakeryBiz コンサルタント 山本 遼

(M&A・ブランド支援担当)

年商億規模のパン屋を経営し、事業売却を経験。
現在は全国のベーカリーを対象に、M&Aや事業承継を支援。
現場視点と実務知識を活かし、納得のいく譲渡をサポート。

株式会社アルチザンターブルは、中小企業庁のM&A支援機関に登録されており、「中小M&Aガイドライン」を遵守した適正な支援を行っています。
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