パン屋の人材採用と定着の秘訣|20坪本格店の「パン職人採用」を成功させる実務ガイド

パン屋さんの採用

パン屋の経営相談で最も多いテーマのひとつが、「製造スタッフが採れない」「定着しない」 という悩みです。

特に20坪超の本格店では、製造2〜4名の体制が“店の生命線” になるため、採用力と育成力が経営の安定を左右します。

この記事では、私たちが実際に支援してきた数十店舗のデータと経験をもとに、「パン職人採用を成功させる方法」 を体系化してお伝えします。

読み終えるころには、「なるほど、こうすればいいのか」と腑に落ちる採用戦略が描けるはずです。

製造スタッフ採用の難易度を正しく理解する

パン職人の採用が難しいのは、「人手不足」だけが理由ではありません。

実は、パン業界には次のような構造的な課題があります。

  • 製造経験者が全体的に少ない
    (パン学校卒も毎年微減傾向)
  • 給与水準が他飲食より低いケースが多い
    (応募者が比較検討で離脱しやすい)
  • 労働時間が不規則になりやすい
    (朝が早いため“生活の相性”が分かれる)

コンサルとして多店舗の採用支援をしてきた中で痛感するのは、「パン職人は採用市場に出てこない」 という現実です。

だからこそ、“足りない人材を探す”ではなく、“選ばれる職場を作る”

この発想が成功率を大きく変えます。

採用を成功させるオーナーは、「採れない理由」を市場や構造のせいにせず、“どうすれば選ばれるのか”を徹底的に考えます。

ここが大きな分岐点です。

採用が成功するパン屋の“魅力の見せ方”

人気のパン屋さん

応募者は求人票を見るとき、次の3つを特に重視します。

  1. 給与・勤務時間(生活の安定性)
  2. 教わる環境(成長できるか)
  3. 働きやすさ(人間関係・風土)

求人票では、あなたの店の魅力を“盛る”必要はありません。

ですが、伝わる形で「見える化」しないと、応募者の心に届きません。

書き方のコツ

  • 製造ラインの工夫(手作業と機械のバランス、負担軽減)
  • 学べる技術を明確化(食パン・ハード系・菓子パンなど)
  • 休みの取り方(固定休・連休の取りやすさ)
  • 育成方針(OJT/マニュアル/チェック表)

私の経験上、応募者は「給料」だけでは決めず、“この店で働いたらどう成長できるか”を強く見ています。

ここを言語化できる店は、応募が明らかに増えます。

応募数を最大化する採用チャネル設計

スマホで検索

パン職人採用は、求人媒体だけに頼ると採れません。

なぜなら、経験者は「転職サイトに登録しない」からです。

成功している店舗は、以下の3ラインで応募経路を作ります。

ハローワーク(無料・長期掲載)

  • 無料で使える
  • 地域で働きたい職人が閲覧
  • 公的機関として安心感が高い
    参考:ハローワークインターネットサービス
    https://www.hellowork.mhlw.go.jp/

業界専門求人(経験者が集まりやすい)

  • パン職人経験者が登録
  • 応募者の質が高い
  • スカウト機能が有効

③ 店舗のSNS・店頭告知(実は最強)

私が支援した店では、SNS投稿経由で採用につながった例が複数あります。

理由はシンプルで、「店の雰囲気」「商品」「人柄」が伝わるからです。

1〜2分の短い工房動画は、応募者から高評価です。

面接と実技試験で見るべきポイント

チェックリスト

パン職人採用では「技術」を見がちですが、成功する店は技術より“姿勢”を見ます。

面接で確認すべきこと

  • 始業時間(朝の生活リズムとの相性)
  • 仕事の優先順位(安全・衛生の意識)
  • コミュニケーション(チームで働けるか)
  • 技術の習得意欲(パンへの興味・探究心)

実技試験で見るポイント

  • 手際のよさ(片付け・動線意識)
  • 衛生意識(手洗い・作業癖)
  • 仕込み速度の見立て
  • 発酵・焼成の理解度

技術は入社後に伸ばせますが、衛生意識や段取りは“素の性質”が強く反映されます。

コンサル視点では「工程管理が得意かどうか」が定着率を大きく左右します。

定着率を決める“現場の設計”

採用できても、3ヶ月で辞められると経営ダメージは大きいです。

だからこそ、採用より「定着」が重要。

定着する店の共通点はシンプルです。

  1. 教え方が体系化されている
    (“感覚”ではなく“基準”で教える)
  2. 評価基準がある
    (どこまでできれば昇給なのかが明確)
  3. 人間関係のトラブルが起きにくい設計
    (連絡ルール/役割分担/指示系統が整理されている)

特に、パン職人は「技術職」なので、できる/できないの境界線を明確にすることが安心感につながります。

私の支援先では、「7段階スキルシート+週次フィードバック」で離職率が半分以下になりました。

成功事例:20坪・製造3名体制の店が採用に成功した理由

食パン作り

横浜市の20坪店。

製造3名を確保できず、オーナーが毎日深夜まで働く状態でした。

Before

  • 応募ゼロ
  • SNSに工房の様子が一切なし
  • 求人票は「経験者のみ募集」
  • 給与条件も“相場が曖昧”

After(2ヶ月で採用成功)

  • 工房動画を週1で発信
  • 給与を地域相場に合わせて提示
  • スキルシートを作成し「成長プロセス」を可視化
  • 面接での技術チェック表を導入
  • “未経験でも食パンラインなら半年で対応可”と明記

結果として、

応募が4名→2名採用し、稼働が安定。

オーナーの労働時間が月70時間減少 しました。

採用は「運」ではなく「設計」です。

よくある質問

このような質問を受けることがありますので、ご紹介しておきます。

Q. 未経験者を採用しても大丈夫?
A. 20坪店なら、食パンやデニッシュラインの一部は半年で習得可能。
工程を分解して教育すれば即戦力化できます。

Q. 給与はどう設定すべき?
A. 地域の飲食相場+1〜2万円が最も応募が集まりやすい傾向です。

Q. 面接で最重視すべきポイントは?
A. 「衛生意識」と「朝の生活リズム」です。技術は育てられます。

まとめ:採用は“人を選ぶ”ではなく“選ばれる店になる”こと

採用に悩むオーナーの多くが、「良い人材がいない」と口にします。

ですが、採用がうまくいく店は、最初からこう考えています。

「良い人材に選ばれる店になろう」

これは精神論ではありません。

  • 店の魅力を伝える
  • 成長の道筋を見せる
  • 現場を整える
  • 教育を体系化する

こうした積み重ねが、応募者に“この店で働きたい”と思わせます。

パン職人の採用は確かに難しい。ですが、採用は「設計」すれば必ず改善します。

あなたの店に合う人材が、長く働き、成長し、店を支える未来を一緒に作っていきましょう。

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この記事書いた人


BakeryBiz コンサルタント 山本 遼

(M&A・ブランド支援担当)

年商億規模のパン屋を経営し、事業売却を経験。
現在は全国のベーカリーを対象に、M&Aや事業承継を支援。
現場視点と実務知識を活かし、納得のいく譲渡をサポート。

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参考リンク

ハローワーク(求人掲載・採用データ)

厚生労働省(労働条件・働き方関連資料)

中小企業庁(人材確保・経営支援資料)

監修・執筆:BakeryBiz編集部
※本記事は公開情報と筆者の実務経験に基づき執筆しています。統計値は出典の算出方法・時点により変動します。
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