パン屋の後継者不足を解決する3つの選択肢|閉店・譲渡・M&Aの正しい選び方

「体力的にきつくなってきた」
「子どもに継がせるつもりはない」
「この先も一人で続けられるか不安になってきた」
これは、私たちがパン屋オーナーから最も多く聞く言葉です。
売りたいわけではない。でも、このまま続けるのが正解なのかも分からない。
それが“後継者不足”の正体です。
後継者不足は、「誰かに継がせるか・継がせないか」だけの話ではありません。
人生と事業の出口をどう設計するかという、極めて経営的なテーマです。
この記事では、パン屋が直面する後継者不足に対して取り得る3つの現実的な選択肢を整理し、それぞれのメリット・デメリット、向いているケースをコンサルタントの現場視点で丁寧に解説します。
目次
パン屋の後継者不足は「突然」ではなく、静かに始まる

多くのオーナーは、ある日突然「限界だ」と感じるわけではありません。
- 仕込みが以前よりしんどい
- 休みの日も体が回復しない
- 人が定着しない
- 原価や光熱費がじわじわ重い
- 将来の数字を考えるのが億劫になる
こうした“小さな違和感”が積み重なり、「この先どうするんだろう…」という検索にたどり着きます。
この段階で大切なのは、「まだ決めなくていい。でも、知っておく」ことです。
出口の選択肢を知らないまま時間だけが過ぎると、選べたはずの道が消えていきます。
後継者不足を解決する3つの選択肢

パン屋が取れる選択肢は、大きく分けて次の3つです。
- 閉店(廃業)
- 第三者への譲渡(事業譲渡)
- M&A(会社・事業としての売却)
重要なのは、どれが正しいかではなく、どれが“あなたに合うか”です。
それぞれ、順に見ていきましょう。
選択肢①:閉店(廃業)という決断
まず最も多くの人が思い浮かべるのが「閉店」です。
■ 閉店のメリット
- 決断がシンプル
- 誰にも気を使わず、自分のタイミングで終われる
- 精神的に区切りがつけやすい
■ 閉店のデメリット
- 店舗や設備の価値がゼロになる
- 原状回復・廃棄・解約費用が発生
- 「誰にも引き継げなかった」という後悔が残りやすい
コンサルタントとして率直にお伝えすると、閉店は“楽なようで、一番ダメージが大きい選択”になることも多いです。
特に、「黒字で営業している」、「固定客がいる」、「設備がまだ使える」、
こうした店ほど、「閉めてから“譲渡できたかもしれない”と後悔する」ケースを多く見てきました。
閉店を選ぶにしても、「他の選択肢を知った上で閉める」ことが重要です。
選択肢②:第三者への譲渡(事業譲渡)
次に現実的なのが、店舗・設備・ブランドを第三者に引き継ぐ「事業譲渡」です。
■ 譲渡のメリット
- 店の歴史や名前を残せる可能性がある
- スタッフや常連客を守れる
- 廃業よりも資金が残りやすい
■ 譲渡のデメリット
- 買い手探しに時間がかかる
- 条件調整・引き継ぎの手間がある
- 感情面の整理が必要
譲渡は、「お金」だけでなく「想い」を引き継ぐ選択肢です。
実際、「この街で続いてほしい」、「スタッフの働き口を守りたい」という理由で譲渡を選ぶオーナーも少なくありません。
ただし注意点もあります。
譲渡は 準備不足だと失敗しやすい。
- 数字が整理されていない
- 契約関係が曖昧
- 引き継ぎ内容が決まっていない
こうした状態だと、「売れるはずの店が売れない」ことも起こります。
選択肢③:M&Aという“経営としての出口”
最近増えているのが、パン屋を 「事業」として評価し、M&Aで売却するケースです。
■ M&Aのメリット
- 会社・事業価値として評価されやすい
- 契約・許認可・取引を引き継ぎやすい
- 手残り資金が明確になりやすい
■ M&Aのデメリット
- 専門家のサポートが必須
- 手続きが複雑に見える
- 心理的ハードルが高い
M&Aという言葉に「大企業の話」「自分には関係ない」と感じる方も多いですが、実際は“個人パン屋”のM&Aも珍しくありません。
特に、「黒字だが後継者がいない」、「スタッフ体制が整っている」、「立地・設備・ブランドが安定している」、こうした店は、“欲しい”と思う買い手が確実に存在します。
M&Aは、「終わらせる」ではなく「次の人にバトンを渡す」選択肢です。
3つの選択肢、どうやって選べばいいのか?

ここで一番大事な話をします。
多くのオーナーは、「売る or 閉める」という二択で考えてしまいます。
でも実際は、
- 体力
- 年齢
- 家族
- お金
- 想い
これらのバランスで、最適解は人によってまったく違います。
だからこそ、私たちは最初にこう問いかけます。
「この店を、5年後どうなっていてほしいですか?」と。
- きれいに終わっていたい
- 誰かに続けてほしい
- 資金を残して次の人生に進みたい
答えによって、選ぶ道は自然と絞られてきます。
後継者不足で“やってはいけない”こと

最後に、現場でよく見る失敗をお伝えします。
- 何も決めずに先延ばしにする
- 体力が限界になってから動く
- 数字を見ずに感情だけで決める
- 「まだ大丈夫」と自分に言い聞かせる
後継者問題は、“元気なうち”にしか選択肢が残りません。
これは脅しではなく、事実です。
まとめ:後継者不足は「終わり」ではなく「設計」の問題

パン屋の後継者不足は、失敗でも、逃げでもありません。
経営者として「出口をどう設計するか」という、最後の仕事です。
閉店も、譲渡も、M&Aも、すべて“正解”になり得ます。
大切なのは、知らずに選ぶのではなく、知った上で、自分で選ぶこと。
BakeryBizは、「売る前提」でも「閉める前提」でもなく、あなたにとって一番後悔の少ない選択肢を一緒に考える立場でありたいと考えています。
まだ何も決めていなくて大丈夫です。むしろ、その段階こそが一番大切です。
次の記事では、「閉店する前に知っておくべき“資金が残る撤退の進め方」を具体的に解説していきます。
BakeryBizでは、パン屋専門で店舗売買・譲渡・M&A支援を行っています。
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この記事書いた人
BakeryBiz コンサルタント 山本 遼
(M&A・ブランド支援担当)
年商億規模のパン屋を経営し、事業売却を経験。
現在は全国のベーカリーを対象に、M&Aや事業承継を支援。
現場視点と実務知識を活かし、納得のいく譲渡をサポート。
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監修・執筆:BakeryBiz編集部
※本記事は公開情報と筆者の実務経験に基づき執筆しています。統計値は出典の算出方法・時点により変動します。
※本記事は一般的情報提供を目的としています。実際の契約・制度は最新の一次情報をご確認ください。
参考になるリンク先
- 後継者不足・事業承継の全体像(公的一次情報)(中小企業庁|事業承継ガイドライン・後継者不足の現状)
- 廃業・閉店という選択肢の公式情報(国税庁|個人事業の廃業手続き)
- 第三者への譲渡・M&Aの公的支援情報( 中小企業庁|M&A支援機関登録制度)
- 事業譲渡・M&Aの流れを説明する一次情報( J-Net21(中小機構)|事業承継・M&Aの進め方)



