パン屋を閉店する前に知るべき資金が残る撤退の進め方|廃業・譲渡・M&Aの比較

閉業

廃業・譲渡・M&Aを比較して後悔を防ぐ

「もう続けるのは難しいかもしれない」

「体力も気力も、正直きつい」

「でも、ここまでやってきた店を“何も残らず終わらせる”のは避けたい」

これは、閉店を考え始めたパン屋オーナーが、必ず通る心境です。

私たちのもとに相談に来られる方の多くは、「もう売りたい」と決めているわけではありません。

ただ、「このまま続ける未来が見えない」、「でも、どう終わらせればいいか分からない」

この“宙ぶらりんの状態”で検索にたどり着いています。

この記事では、「閉店=資金が残らない」という思い込みを一度外し、どうすれば“ダメージを最小限にして撤退できるか”を、現場の実務視点で整理します。

「閉店」は決断ではなく「プロセス」である

プロセス

まず知っておいてほしい大前提があります。

パン屋の閉店は、シャッターを下ろすその日が終わりではありません。

  • 原状回復
  • 契約解除
  • 廃棄処理
  • 税務手続き
  • 借入返済
  • 生活資金の確保

むしろ、閉めた“あと”のほうが大変です。

ここを誤ると、

  • 想定より手元資金が残らない
  • 税金・解約費用で資金がショートする
  • 次の人生に進む余力がなくなる

という事態が起こります。

だからこそ、閉店は「感情で決めるもの」ではなく、設計して進めるプロセスとして考える必要があります。

閉店前に必ず整理すべき「3つの資産」

3つ

資金が残るかどうかは、閉店前にこの3つをどう扱うかで決まります。

資産1:店舗・設備という「物理的資産」

  • オーブン
  • ミキサー
  • 冷蔵・冷凍庫
  • 内装・什器

これらは 「捨てる」か「活かす」かで、数百万円単位の差 が出ます。

閉店を前提にすると、「もう価値はない」と思いがちですが、実際には 次の使い手がいれば価値が生まれる資産 です。

資産2:営業実績・ブランドという「見えない資産」

  • 固定客
  • 売上実績
  • 立地との相性
  • レシピ・商品構成

これらは帳簿には載りませんが、第三者から見ると“欲しい価値”になることが多い

閉店前にこれを整理せずに終わらせるのは、“使える資産をそのまま捨てる”のと同じです。

資産3:契約・人という「引き継げる資産」

  • 賃貸借契約
  • スタッフ
  • 仕入先
  • 地域との関係

これらが整っているほど、「閉めるしかない店」から「引き継げる店」 に変わります。

資金が残らない閉店の典型パターン

ここで、よくある失敗をお伝えします。

  • 体力が限界になってから動く
  • 原状回復費用を把握していない
  • 廃業届・税金を後回しにする
  • 「どうせ閉めるから」と数字を整理しない
  • 誰にも相談せず、一人で決める

このパターンに入ると、閉店=お金が出ていくだけの作業 になります。

私たちは、「閉めたあとに“こんなはずじゃなかった”と後悔するオーナー」を何人も見てきました。

そうならないために、次の視点が重要です。

「閉店前」に一度だけ立ち止まってほしい理由

ここで、あえてお伝えします。

閉店を考え始めた“その時点”が、一番、選択肢が多いタイミングです。

  • まだ営業している
  • 数字が残っている
  • 人がいる
  • 設備が動いている

この状態なら、「居抜き譲渡」、「第三者への事業譲渡」、「小規模M&A」という選択肢が 現実的に検討できます

閉店を決めてから動くのではなく、閉店を考え始めた段階で、選択肢を比較する。

これだけで、残る資金も、気持ちの整理も、大きく変わります。

「閉める前」に検討すべき3つのルート

選択肢

ここで、整理しましょう。

完全廃業(閉店)

  • シンプルだが、資産は基本的に残らない
  • 原状回復・廃棄コストが重い
  • 精神的な区切りはつきやすい

居抜き・事業譲渡

  • 設備・店舗・ブランドを引き継げる
  • 数百万円単位の資金が残る可能性
  • 時間と調整は必要

M&A(第三者承継)

  • 事業として評価される
  • 契約・人・実績をまとめて引き継げる
  • 専門家の伴走が必須

どれが正解かではなく、「どれなら後悔が少ないか」を基準に考えてください。

「資金が残る撤退」を実現するための考え方

撤退をするならば、「資金を残したい」と思うのではないでしょうか。

資金を残す人は、共通してこう考えています。

  • 早めに動く
  • 数字を整理する
  • 感情と判断を分ける
  • 専門家を“答え合わせ役”として使う

逆に、「閉める=終わり」と考えてしまうと、判断が遅れ、選択肢が消えていきます。

撤退は、経営の失敗ではなく、経営の完了作業です。

撤退を投げやりやネガティブに考えずに、前向きに考えていくことが大切です。

まとめ:閉店は「終わり」ではなく、人生を守るための選択です

パン屋の開業

パン屋を閉める、という言葉はとても重たいものです。

長い時間をかけて積み上げてきた努力や、毎朝の仕込み、常連さんとのやり取り、地域との関係。

それらすべてに一区切りをつける決断ですから、簡単に割り切れるものではありません。

だからこそ、多くのオーナーが、「もう限界だけど、考えるのがつらい」、「誰にも相談できず、時間だけが過ぎていく」、そんな状態で、このページにたどり着いています。

まず、ここまで読み進めてくださったこと自体が、とても大切な一歩です。

感情だけで決めず、きちんと“考えようとしている”証拠だからです。

パン屋の閉店で一番つらいのは、「もっと早く知っていれば、違う終わり方ができたかもしれない」と後から気づくことです。

実際、私たちが現場でお会いしてきたオーナーの多くは、「閉店=資金が残らない」「閉めるしかない」、そう思い込んだまま、選択肢を比較しないまま動いてしまっていました。

けれど、閉店を考え始めた“その時点”には、まだ 選べるルート が存在していることがほとんどです。

完全に廃業するのか、居抜きや事業譲渡として引き継ぐのか、第三者承継・M&Aとして残すのか

どれが正解という話ではありません。

大切なのは、「自分にとって、どの終わり方なら後悔が少ないか」 を知った上で決めることです。

資金がどれくらい残るのか。精神的な区切りはつくのか。次の人生に進む余力は確保できるのか。

これらを一つひとつ整理せずに閉店してしまうと、店は閉められても、気持ちが置いていかれてしまいます。

撤退は、失敗ではありません。むしろそれは、経営者として最後まで責任を持つ行為です。

数字を整理することも、選択肢を比較することも、すべては「これまでの自分を否定しないため」に行うものです。

閉店は、人生の終わりではありません。次の時間を、少しでも軽やかに始めるための準備期間です。

もし今、「続けるか迷っている」、「閉めたい気持ちと、諦めきれない気持ちが混ざっている」、「何から手をつけていいか分からない」

そんな状態であれば、結論を出す前に、一度だけ“整理する時間”を取ってください。

早く決める必要はありません。ただ、知らないまま決めることだけは避けてほしいのです。

BakeryBizは、「売るべき」「閉めるべき」と答えを押しつける場所ではありません。

あなたのこれまでの経営を尊重しながら、一番納得できる終わり方を一緒に考えるための伴走者でありたいと考えています。

この店が、あなたの人生の足かせになるのではなく、次に進むための“区切り”になるように。

そのための選択肢と判断材料を、これからも丁寧に届けていきます。

BakeryBizでは、パン屋専門で店舗売買・譲渡・M&A支援を行っています。
また、店舗の経営改善・コスト分析・黒字化支援も行っています。

スタッフは、全員がベーカリー出身者です。専門知識をもった経験豊富なスタッフがお客様を最後まで丁寧にサポートいたします。

ご相談は完全無料ですので、お気軽にご相談ください。

「BakeryBiz」を運営する株式会社アルチザンターブルは、中小企業庁のM&A支援機関に登録されており、「中小M&Aガイドライン」を遵守した適正な支援を行っています。
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この記事書いた人


BakeryBiz コンサルタント 山本 遼

(M&A・ブランド支援担当)

年商億規模のパン屋を経営し、事業売却を経験。
現在は全国のベーカリーを対象に、M&Aや事業承継を支援。
現場視点と実務知識を活かし、納得のいく譲渡をサポート。

株式会社アルチザンターブルは、中小企業庁のM&A支援機関に登録されており、「中小M&Aガイドライン」を遵守した適正な支援を行っています。
M&A支援業者への手数料を補助する「事業承継・M&A補助金」も条件に応じご活用いただけます。

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監修・執筆:BakeryBiz編集部
※本記事は公開情報と筆者の実務経験に基づき執筆しています。統計値は出典の算出方法・時点により変動します。
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