パン屋M&Aの税金はいくらかかる?手取りシミュレーションでわかる“実際に残るお金”

パン屋の売却を考えたとき、多くの方が気になるのが、「結局、いくら手元に残るのか?」という点です。
提示された売却価格がそのまま入るわけではなく、そこから税金が引かれます。
しかもこの税金、売り方によって大きく変わります。
この記事では、できるだけシンプルに
- どんな税金がかかるのか
- どれくらい引かれるのか
- 最終的な手取りの目安
を具体例で解説していきます。
目次
手取りは「70〜85%」が目安

まずざっくりですが、売却金額の約70〜85%が手元に残るケースが多いです。
ただしこれは、
- 個人か法人か
- 売却方法(株式 or 事業譲渡)
- 保有期間
によって変わります。
パン屋売却でかかる主な税金

ここはシンプルに押さえればOKです。
譲渡所得税(個人の場合)
個人事業主の場合、売却益に対して課税されます。
税率:約20%前後(所得税+住民税)
法人税(法人の場合)
法人で売却する場合は、売却益に対して法人税(約30%前後)
消費税(事業譲渡の場合)
設備や在庫の売却には、消費税がかかるが場合あります。
※株式譲渡なら基本かからない
税金は「売却価格」にそのままかかるわけではありません。
売却のために支払った「M&A仲介手数料」などは譲渡費用として差し引くことができるため、その分、課税対象となる金額(利益)を小さく抑えることが可能です。
売却方法で税金が変わる

ここは重要です。
株式譲渡(会社ごと売る)
- 税率:約20%
- シンプル
- 手取りが残りやすい
一般的にこちらが有利
事業譲渡(お店だけ売る)
- 法人税+消費税
- 手続きが複雑
- 手取りが減りやすい
ケースによっては不利
注意:売却代金から「借入金の返済」が必要なケース
シミュレーションの前に、一点注意が必要です。
「事業譲渡」の場合、お店の借入金は売主側に残ります。
例えば1,000万円で売却できても、お店のローンが500万円残っていれば、売却代金からそれを返済しなければなりません。
税金を引いた後の「手残り」からさらに借金返済が発生するため、実質的に自由に使えるお金はシミュレーションより少なくなる場合があります。
手取りシミュレーション

気になる手取り額のイメージです。
※あくまでも参考数値です。実際額はご自身の状況に合わせて計算してください。
ケース①:個人事業主・売却額1,000万円
- 売却益:1,000万円
- 税率:約20%
税金:約200万円
手取り:約800万円
ケース②:法人・事業譲渡・売却額1,000万円
- 法人税:約30%
- 消費税なども考慮
税金:約300〜350万円
手取り:約650〜700万円
ケース③:株式譲渡・売却額2,000万円
- 税率:約20%
税金:約400万円
手取り:約1,600万円
よくある勘違い
- 売却額=手取りではない
→ 税金が引かれる - 赤字だから税金はかからない
→ 売却益が出れば課税される - どの方法でも同じ
→ 方法で数百万円変わることもある
手取りを増やすためのポイント
- 売却方法を選ぶ
→株式譲渡が有利なケースが多い - タイミングを考える
→利益や状況で税額が変わる - 専門家に事前相談
→税金は設計できる - 役員退職金の活用を検討する
→法人の株式譲渡の場合、売却代金の一部を「役員退職金」として受け取る方法があります。退職金は通常の所得よりも税制面で大きく優遇されているため、単純に株式を売るよりも全体の税負担を抑え、手取りを増やせる可能性があります。
「いくらで売れるか」より「いくら残るか」

売却を考えるとき、どうしても「価格」に目がいきます。
でも本当に大事なのは、手元に残るお金です。
同じ1,000万円でも手取りが100万円以上変わることもあります。
結局どれくらい残るのか」という現実的な部分に目が向いてきているのではないでしょうか。
実際にご相談いただく中でも、この“手取り”の部分をしっかり理解しているかどうかで、納得感は大きく変わります。
というのも、売却は提示された金額だけを見て判断してしまうと、あとから「思っていたより残らなかった」と感じるケースがあるからです。
一方で、事前に
- どの方法で売るのか
- どのくらい税金がかかるのか
- 最終的にいくら残るのか
ここまで整理できている方は、意思決定に迷いがなく、結果として満足度も高くなります。
税金の話は少し難しく感じるかもしれませんが、実は「知らないと損をする」領域でもあります。
逆に言えば、この部分はあとからどうにもならないものではなく、事前の設計で大きく変えられる部分でもあります。
だからこそ今のタイミングで、ざっくりでもいいので全体像をつかんでおくことがとても大切です。
売却は大きな決断ですが、数字が見えるだけで安心感は大きく変わります。
「なんとなく不安」な状態から、「納得して選べる状態」に進めるように。
その一歩として、今回の内容が少しでも参考になれば嬉しいです。
※実際の算出には、物件の減価償却の状態や、累積赤字の有無などが大きく影響するため、最終的なシミュレーションは税理士等の専門家に依頼することをお勧めします。
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この記事書いた人
BakeryBiz コンサルタント 山本 遼
(M&A・ブランド支援担当)
年商億規模のパン屋を経営し、事業売却を経験。
現在は全国のベーカリーを対象に、M&Aや事業承継を支援。
現場視点と実務知識を活かし、納得のいく譲渡をサポート。
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監修・執筆:BakeryBiz編集部
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