パン屋の売却の流れと必要な準備|オーナー目線でわかりやすく解説

パン屋の厨房

パン屋を長年経営していると、ふと「そろそろ売却を考えたほうがいいのかもしれない」と思う瞬間があります。

私も現役オーナーの相談に乗る中で、売却を検討するタイミングや迷いの心理を多く聞いてきました。

売却は人生の大きな分岐点ですが、準備と流れを理解すれば、安心して次のステップに進むことができます。

この記事では、パン屋の売却の流れを時系列で丁寧に整理し、現役オーナーの声や事例を交えながら、準備のポイントや注意点を解説します。

公式資料や業界のM&A事例も参考にしており、信頼できる情報をもとにしています。

パン屋の売却を考え始めたら:最初のステップ

計画

売却の意思確認と目的の明確化

売却を検討し始めたオーナーさんによくある悩みは、「本当に売るべきかどうか」です。

  • 後継者がいない
  • 体力的に続けるのが厳しい
  • 新しい挑戦を始めたい
  • 設備や運営の負担を減らしたい

私が相談を受ける中でも、「このまま続けるのは正直きついけれど、売却するのは寂しい」と迷う方が多くいます。

しかし、目的を整理すると後悔のない決断につながります。

具体例

ある小規模パン工房のオーナーは、後継者不在で悩んでいましたが、譲渡先をじっくり検討することで、地域に根付いた味を守ることができ、安心して引退できたと話していました。

店舗の市場価値を把握する(査定)

売却価格は、正しい評価があって初めて納得できるものになります。

査定で見るポイントは主に以下です

  • 売上・利益の推移
  • 店舗立地や周辺環境
  • 設備や什器の状態
  • 顧客の固定比率やリピート率

複数のM&A仲介会社や公的支援機関に査定を依頼すると、より客観的な評価が得られます。

詳しくは、中小企業庁の事業承継マニュアルや日本M&Aセンターの業界別事例をご覧ください。

売却の流れを時系列で確認

時系列

売却は大きく分けて8つのステップに沿って進みます。段階ごとに準備と確認を行うことで、安心して譲渡ができます。

売却目的と方針の整理

  • どのような条件で売りたいのかを明確にする
  • 譲渡後の生活やスタッフのことも考える
STEP
1

店舗評価・査定(売却価格の設定)

  • 適正価格を把握して希望条件を定める
  • 複数査定を比較することで納得感が増す
STEP
2

相手(買い手)の探索・マッチング

  • M&A仲介会社や公的支援機関に相談
  • 独自製法やブランド価値を理解できる相手を選ぶ
STEP
3

交渉・条件調整

  • 売却価格だけでなく、引き渡し条件も確認
  • 契約の内容や期限を明確にする
STEP
4

基本合意(LOI)の締結

  • 売却条件の大枠を合意
  • 契約書作成に向けた準備が始まる
STEP
5

デューデリジェンス(法務・財務・税務の調査)

  • 買い手が店舗・財務情報を精査
  • 簿外負債や契約義務も確認対象
STEP
6

事業譲渡契約書の作成・締結

  • 契約書に条件を明確化
  • 競業避止義務やスタッフの引き継ぎも含める
STEP
7

引き渡し・契約後のフォロー

  • スタッフや取引先、顧客への丁寧な引き継ぎ
  • 設備や物件の最終確認
STEP
8

各ステージでの詳細ポイント

ポイント

相手探しと交渉

買い手選びは売却の成否を左右します。M&A仲介会社や公的支援機関を活用すると効率的にマッチングできます。

  • 地域やブランド価値を理解してくれる相手を選ぶ
  • 複数の候補者と交渉し、条件を比較

現役オーナーの声:

ブランドの価値を理解してくれる相手を見つけることができて、譲渡後も安心して任せられました。

参考:パン屋の事業承継・M&A事例

デューデリジェンス

買い手は財務や法務、税務面を詳細に確認します。準備不足だと交渉が長引くことがあります。

  • 売上・利益・設備・契約関係を整理
  • 簿外負債や隠れたリスクもチェック

参考:パン屋とベーカリーのM&Aポイント

契約締結

  • 契約書に競業避止義務を含める場合がある
  • 条件や期限を明確にして後のトラブルを防ぐ
  • スタッフの雇用や引き継ぎ内容も契約書に明記する

引き渡し後のフォロー

  • スタッフ・顧客への連絡や設備確認を丁寧に行う
  • これまでのブランド価値を維持するための配慮も大切

実際のオーナーの声

埼玉県 小規模パン工房
(譲渡まで約半年)

後継者がいなかったので諦めかけていましたが、地域に根付いた味を守る相手に譲渡でき、安心して引退できました。

東京都 都市型ベーカリー
(年商約4,100万円、希望額1,500万円で売却成功)

利益データを整理していたことで、納得の価格で譲渡できました。スタッフもスムーズに引き継げて良かったです。

参考:パン屋売却の成功事例

まとめ

パン屋の売却は、「目的の明確化」 → 「査定と買い手探し」 → 「交渉・契約」 → 「引き渡しとフォロー」の順で丁寧に進めることが大切です。

事前準備をしっかり行うことで、自分の店舗の価値を正しく評価してもらい、納得のいく譲渡につなげられます。

スタッフや顧客、地域のことを思いながら、一歩ずつ準備を進めていきましょう。

小さなステップの積み重ねが、安心できる売却の第一歩になります。

パン屋さん専門
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この記事書いた人


BakeryBiz コンサルタント 山本 遼

(M&A・ブランド支援担当)

年商億規模のパン屋を経営し、事業売却を経験。
現在は全国のベーカリーを対象に、M&Aや事業承継を支援。
現場視点と実務知識を活かし、納得のいく譲渡をサポート。

株式会社アルチザンターブルは、中小企業庁のM&A支援機関に登録されており、「中小M&Aガイドライン」を遵守した適正な支援を行っています。
M&A支援業者への手数料を補助する「事業承継・M&A補助金」も条件に応じご活用いただけます。