パン屋店舗譲渡の費用相場と内訳を徹底解説

店舗開店

パン屋を譲渡する際に必要となる費用は、単に「店舗の売却価格」だけではありません。

譲渡を進めるためには、造作譲渡費用、仲介手数料、保証金の精算、契約に伴う税金など、いくつもの費用が発生します。

つまり、店舗のオーナーが「手元に残る金額」を正しく把握するためには、全体像を理解しておくことがとても大切です。

この記事ではまず、パン屋店舗譲渡の費用にどのような種類があるのかを整理していきます。

造作譲渡費用(居抜きで残す内装や設備の価値)

造作物

店舗の内装やパン製造に必要なオーブンやミキサーなどの設備は、新しいオーナーにとってそのまま活用できる資産になります。

そのため、多くの譲渡では「造作譲渡費用」として評価されます。

一般的には数十万円から数百万円の幅がありますが、最新の機材が揃っている場合や立地が優れている場合には、より高い金額になることもあります。

パン屋の場合はオーブンや発酵機といった大型機材の評価がポイントになるため、飲食店全体よりも譲渡価格が高めに出る傾向があります。

仲介手数料(専門業者に支払う費用)

手数料

店舗の譲渡をスムーズに進めるためには、専門の仲介会社やM&Aの支援会社を利用するケースがほとんどです。

その際に必要となるのが仲介手数料です。

手数料の形は、売却価格の数%という成果報酬型や、着手金・中間金が必要な形式などがあります。

オーナーとしては、手数料の有無や金額によって「実際に残る金額」が大きく変わるので、しっかり確認する必要があります。

尚、私たちベーカリービズは、少しでも良いスタートを切っていただきたいので、譲受に関する仲介手数料をいただいておりません。

保証金・敷金の精算(大家とのやりとり)

大家さんとの交渉

店舗を借りて営業している場合、譲渡時には保証金や敷金の精算が発生します。

多くのケースでは、賃貸契約を引き継ぐ新しいオーナーに対して敷金が移転する形になりますが、原状回復の義務や契約内容によって精算の条件は異なります。

たとえば「現状有姿」での引き渡しを認めてもらえる場合と、「完全に原状回復する」ことを求められる場合では、かかる費用も残る金額も大きく変わります。

大家との交渉や契約内容の確認は、この段階で非常に重要なステップです。

税金やその他の費用(譲渡契約に伴うコスト)

コスト

店舗譲渡には、税金や契約に伴う諸費用も発生します。

代表的なものに、譲渡所得に対する税金や契約書に貼付する印紙税があります。

金額自体は数千円から数万円程度と比較的小さなものが多いですが、最終的に「譲渡で得られる金額」に影響するため、見落とさずに計算しておく必要があります。

また、税理士に相談する場合はその顧問料や相談料もかかります。

実際の費用相場の目安を知ることが判断の助けになる

相場価格

実際に公開されている譲渡事例を参考にすると、パン屋の店舗譲渡価格は 100万円〜500万円程度が多く見られます。

小規模な個人店であれば100万〜200万円前後、最新の設備が整っていて立地も良い場合は400万〜500万円以上になることもあります。

この数字を知っておくことで、オーナーは「高すぎる金額を提示して買い手がつかない」といったリスクを避けやすくなります。

こちらのサイト(飲食店ドットコム)も参考になりますよ。

成功事例から学ぶ店舗譲渡のポイント

パン屋さんの店舗

実際の譲渡事例から見ると、譲渡価格の高さだけでなく「どのように交渉を進めたか」「譲渡のタイミング」が成功のカギになっています。

例えば、造作譲渡で200万円を得たケースでは、オーブンや発酵機をきれいに整備し、買い手にとって「すぐに営業できる状態」を強調したことが成約につながりました。

また、譲渡活動を始める前に財務データを整理し、仲介業者と一緒にシミュレーションをしたことで、スムーズに契約に至った例もあります。

金額だけでなく、準備や交渉の姿勢が成功を左右することがよくわかります。

パン屋店舗譲渡にかかる費用の流れ

パン屋店舗譲渡にかかる費用や手順は複雑に見えますが、流れを押さえると理解しやすくなります。

  • 譲渡の意思決定
  • 仲介会社への相談
  • 店舗の内装・設備の査定
  • 買い手候補の募集
  • 譲渡条件の交渉
  • 契約締結・保証金の精算
  • 引き渡し・アフターフォロー

この流れに沿って準備を進めれば、費用の全体像を見失うことなく進めることができます。

費用相場を理解し、計画的に準備することが成功への近道

計画が大事

パン屋の店舗譲渡にかかる費用は、造作譲渡費用、仲介手数料、保証金の精算、税金など複数の要素から成り立っています。

相場は100万円から500万円程度が多く見られますが、店舗の規模や設備、立地によって大きく変動します。

大切なのは、実際にかかる費用の全体像を事前に把握し、仲介業者や専門家と相談しながら計画的に進めることです。

正しい情報を持って準備すれば、オーナーにとっても買い手にとっても満足できる譲渡が実現できます。

専門家に相談するときは、中小企業庁に登録された「M&A支援機関登録企業」に相談することをお勧めします。

相談する時は、どのように伴走支援してくれるのかしっかり確認しましょう。

こちらの記事もぜひご覧ください。

パン屋の経営者がM&Aを選ぶ理由

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おまけ|<保存版>パン屋店舗譲渡「費用内訳テンプレート」

ここまで読んでいただいた方にちょっとしたおまけです。

以下をコピーして、自店の数字に置き換えて使えます。

費用内訳テンプレート

【A. 譲渡代金】
・造作一式(内装・厨房・電気ガス水道の残置)____円
・在庫(小麦粉・副材料・包材等)____円

【B. 手数料・承諾料】
・仲介/成約手数料(料率__%、最低報酬__円)____円
・賃貸人の譲渡承諾料(家賃__か月/または譲渡代金の__%)____円

【C. 工事・整備】
・清掃・軽微補修____円
・原状回復(必要時:__坪×__万円/坪)____円

【D. 契約・税務等】
・契約書印紙代____円
・専門家費用(弁護士・税理士 等)____円
・消費税・所得区分の確認(要専門家)

【E. 敷金・保証金】
・精算方法:返還/承継/相殺(詳細を別紙に明記)

ご参考まで。

bakerybiz

この記事書いた人


BakeryBiz コンサルタント 山本 遼

(M&A・ブランド支援担当)

年商億規模のパン屋を経営し、事業売却を経験。
現在は全国のベーカリーを対象に、M&Aや事業承継を支援。
現場視点と実務知識を活かし、納得のいく譲渡をサポート。

株式会社アルチザンターブルは、中小企業庁のM&A支援機関に登録されており、「中小M&Aガイドライン」を遵守した適正な支援を行っています。
M&A支援業者への手数料を補助する「事業承継・M&A補助金」も条件に応じご活用いただけます。