パン屋の販促イベント成功事例10選|売上UPの実例と再現ポイント

「イベントをやってみたけど、思ったほど売上につながらなかった…」
そんな相談をパン屋オーナーさんからよくいただきます。
一方で、同じような規模・立地のパン屋でも、
販促イベントをきっかけに「常連さんが増えた」「雨の日も客足が途切れなくなった」という店もあります。
その違いは、“派手さ”ではなく「設計」と「目的」です。
この記事では、パン屋専門の視点から「パン屋の販促イベント成功事例10選」をまとめました。
単なるアイデア集ではなく、「なぜそのイベントがパン屋に向いているのか」、「どんな数字や反応につながったのか」、「初めてでも失敗しにくい設計のポイント」まで、できるだけ噛み砕いてお伝えします。
目次
- 1 パン屋の販促イベントが“効く”店と“効かない”店の違い
- 2 成功事例1:焼きたて時間フェス(時間帯を決めたライブ感)
- 3 成功事例2:子どもパン教室(親子参加型イベント)
- 4 成功事例3:周年祭の「限定パン復刻」企画
- 5 成功事例4:値引きではなく「半斤プレゼント」戦略
- 6 成功事例5:地元食材コラボ(農家・養蜂家との連携)
- 7 成功事例6:スタンプラリー&LINE連動施策
- 8 成功事例7:雨の日ポイント・クーポン施策
- 9 成功事例8:新作パン総選挙(お客様参加型開発)
- 10 成功事例9:朝限定セットで「時間帯の固定客」づくり
- 11 成功事例10:パン福袋+次回クーポンの再訪設計
- 12 販促イベントを「一度きり」で終わらせないために
- 13 まとめ:イベントは“店とお客の物語”を増やす時間
- 14 関連記事
- 15 役立つ参考リンク
パン屋の販促イベントが“効く”店と“効かない”店の違い

同じ「販促イベント」でも、結果は大きく分かれます。
- チラシを配ったけれど、当日だけ忙しくて、その後は元通り
- 割引セールをしたら常連さんの単価が下がってしまった
- 一度だけ盛り上がって、次のアイデアが続かない
こうした状況になりやすいのは、「そのイベントで何を増やしたいのか」が曖昧な時です。
例えば、
- 新規客を増やしたいのか
- 既存客の来店頻度を上げたいのか
- 買上点数・客単価を上げたいのか
によって、設計すべきイベントはまったく変わります。
「とりあえずイベントをやる」のではなく、“誰に”“どんな行動を取ってほしいか”を先に決めるだけで、成果が大きく変わります。
この記事の事例は、すべて「誰に/何をしてもらうためのイベントか」という視点で整理しています。
読みながら、「自分の店ならどの行動を増やしたいか」を意識してみてください。
成功事例1:焼きたて時間フェス(時間帯を決めたライブ感)

どんなイベントか
- 「毎日◯時に食パン・バゲットが焼き上がります」と時間を明示
- その時間帯に合わせて“焼き上がりボード”やSNSでカウントダウン
- 焼きたてに合わせてちょっとした特典(ジャム試食、コーヒー試飲など)
いわば、「焼きたて時間をイベント化」する施策です。
何が良かったのか
- 焼きたて時間に来店のピークが集中しやすい
- 近隣の常連が「◯曜日のこの時間はパン屋」と習慣化
- SNSの投稿ネタとしても作りやすい(動画・写真映え)
パン屋の強みは「焼きたての香り」と「ライブ感」です。
大掛かりな準備をしなくても、“焼きたての瞬間”を少し演出するだけで立派な販促イベントになります。
ポイントは、
- 焼き上がる時間を店頭・SNS・Googleビジネスプロフィールに書いてしまうこと
- その時間帯に合わせて、スタッフが声がけを少し増やすこと
「わざわざ時間を合わせて来てくれた」お客様はファンになりやすいので、名前を覚えたり、一言会話を増やしたりするだけでもリピート率が変わります。
成功事例2:子どもパン教室(親子参加型イベント)

どんなイベントか
- 日曜や長期休みの午前中に、親子向けの小さなパン教室を開催
- 成形やトッピングなど「小さな子でもできる工程」に絞る
- 参加費は材料費+α程度に抑えつつ、事前予約制に
何が起きたか
- 教室当日だけでなく、「事前の申込み時点」から店のファン化が進む
- 保護者のスマホで写真・動画がたくさん撮られ、SNSで自然に拡散
- 「子どもがまた行きたいと言っている」という理由での再来店が増えた
子ども向けイベントは、短期的な売上よりも長期的な「思い出づくり」の側面が強いです。
一度エプロン姿でパンを作った店は、その子にとって「特別な場所」になります。
無理に規模を大きくせず、
- 1回あたり4〜6組程度
- 店内の一角または店外テントで実施
のように、オペレーションに負荷がかかりすぎない範囲で始めるのがコツです。
写真OKであれば、最後にお店側のカメラでも1枚撮って、後日店内掲示するだけでも、「うちの子が写っているからまた見に行こう」という来店動機になります。
成功事例3:周年祭の「限定パン復刻」企画

どんなイベントか
- 開店◯周年のタイミングで、過去の人気パンを1日限定で復刻
- 「◯年目に一番売れた〇〇パン」など、ストーリーをセットで紹介
- 当日は店内ポップで「◯年目の思い出」「あの頃の失敗談」なども添える
何が良かったのか
- 単なる「◯%OFF周年セール」よりも、“物語”に共感した常連が喜んでくれた
- 「あのパン、覚えている?」という会話が生まれ、店とお客の距離が縮まる
- SNSでも「懐かしい」「また食べたかった」という声が多数
周年祭でやりがちなのが「なんとなく値引き」です。
もちろんそれも悪くはないのですが、パン屋らしい周年祭は“思い出の味を一緒に振り返ること”だと感じています。
過去の売上データがあれば、「◯年目の年間販売数トップ3」などから選ぶと、話題づくりもしやすくなります。
「あの頃はこんなに失敗していて…」といった裏話も、ファンにとっては大きな価値です。
成功事例4:値引きではなく「半斤プレゼント」戦略

どんなイベントか
- 一定金額以上の購入で、“食パン半斤プレゼント”
- 一律割引ではなく、「プラス1品」をつける形のキャンペーン
- 期間は1〜2週間程度に絞る
何が起きたか
- 客単価を大きく崩さずに、買上点数を増やすことができた
- 配った半斤食パンをきっかけに、「翌週は1斤を買いに来た」お客様が増えた
- 「〇〇円以上購入でプレゼント」のしきい値を少し高めに設定し、売上が底上げされた
「10%OFF」よりも、「これもついてきます」の方が、お客様の満足度が上がりやすいのが小売りの特徴です。
特にパン屋では、
- 食卓用の“いつものパン”
- ついで買いの“ご褒美パン”
の2軸で構成されることが多いので、「ご褒美パン+いつものパンの半斤プレゼント」のような組み合わせは心理的にも響きやすいです。
原価率を崩さないように、半斤分の原価を計算したうえで、しきい値(◯円以上)を設計しましょう。
成功事例5:地元食材コラボ(農家・養蜂家との連携)

どんなイベントか
- 近隣の農家・養蜂家・加工品メーカーの食材を使ったコラボパンフェア
- 産地や生産者の顔写真・ストーリーを店内ポップやSNSで紹介
- 期間は1か月程度。毎週1つずつ「今週のコラボパン」を変えていく
何が良かったのか
- 「地元を応援したい」層の支持が厚く、単価の高い商品でも売れやすい
- 生産者側のSNSや紹介網でも発信してもらえ、店だけでは届かなかった層に認知
- 「いつものパン屋」から、「地域のハブ」のようなポジションへ
中小企業庁や商店街の事例集でも、「地元×専門店」のコラボは成功例が非常に多いテーマです。
ポイントは、
- 食材を変えるだけでなく、「生産者のストーリー」までセットで発信すること
- 1回きりのイベントで終わらせず、「年◯回の定番企画」に育てること
「うちは小さな店だから」と遠慮せず、まずは1事業者から声をかけてみてください。
生産者側も、直接お客様の反応が見える場を求めていることが多いです。
成功事例6:スタンプラリー&LINE連動施策

どんなイベントか
- 店独自のスタンプカード、またはLINE公式アカウントのスタンプ機能を活用
- 「◯回の来店で〇〇パンプレゼント」「◯回来店で福袋購入権」などの特典
- 月間・季節単位でテーマを変えて実施
何が起きたか
- 常連の一部が「月◯回までは通う」と決めてくれるようになり、来店頻度が可視化
- スタンプカードをきっかけに、家族・友人への紹介も増えた
- LINEを使う場合は、雨の日クーポンや新商品の案内とも連動しやすい
スタンプラリーは、飲食・小売全般で「リピート促進策」として定番の手法です。
デジタルスタンプラリーの成功事例を見ても、「回数目標」と「小さなご褒美」をセットにするのは鉄則になっています。
紙でもデジタルでも大事なのは、
- 目標回数が高すぎないこと(まずは3〜5回程度)
- 景品が「実際に欲しいもの」であること
「次はいつ来ますか?」と会話をしやすくなるのも、店側にとって大きなメリットです。
成功事例7:雨の日ポイント・クーポン施策

どんなイベントか
- 雨の日限定で、「ポイント2倍」、「LINEクーポン配信」、「雨の日セット特別価格」などを実施
- 店頭でも「今日は雨の日ポイントデーです」としっかり表記
何が良かったのか
- 客足が鈍りがちな雨の日に、一定数の“わざわざ来店”が生まれた
- 雨の日を狙って来る常連ができ、日々の売上のバラつきがやや軽減
- フードロス削減にもつながった(特に夕方のクーポン配信)
天候による売上のブレは、パン屋にとって大きな悩みです。
ただ、「雨の日だからしょうがない」と諦めるのではなく、“雨の日こそ来たくなる理由”を1つだけ作ると、状況が変わってきます。
例えば、
- LINEで「本日雨の日セットあります」と15時に配信
- 18時までに売り切れるよう価格と数量を調整
といった運用をしている店では、ロス削減と売上確保を同時に実現しています。
無理に大きな割引をする必要はなく、「雨の日限定の特別感」を意識してください。
成功事例8:新作パン総選挙(お客様参加型開発)

どんなイベントか
- 新作パン候補を3〜5種類用意し、「総選挙」として人気投票
- 店頭投票・SNS投票・LINE投票など、複数チャネルで受け付け
- 1位になったパンは「◯か月レギュラー入り」と宣言
何が起きたか
- 「自分が選んだパン」がメニュー入りすることで、お客様側の愛着がグッと高まる
- 試食販売などと組み合わせると、滞在時間・会話量も増えた
- SNS上での拡散も起きやすく、「投票結果発表」もコンテンツ化
メニュー開発を“裏側で完結”させるのではなく、お客様に参加してもらうだけで、ブランドの見え方が変わります。
「どれもおいしいので迷うのですが…」という悩みすら、会話のきっかけになります。
総選挙の際は、
- 試食サイズを小さめにして原価負担を抑える
- 投票用紙に「ひと言コメント欄」を付けて、声を集める
など、商品開発のフィードバックの場としても活用すると、一石二鳥です。
成功事例9:朝限定セットで「時間帯の固定客」づくり

どんなイベントか
- 朝8:00〜10:00限定で、「食パン+総菜パン+ドリンクのモーニングセット」、「朝のサンドイッチセット」など、時間帯限定のセット販売を実施
- 平日・土日で内容や価格を変えることも
何が良かったのか
- 通勤客・送り迎えの保護者など、「朝の常連客」が固定化
- 仕込み・焼成のリズムが安定し、ロスも読めるようになった
- 昼・夕方とは違うメニュー構成で、売上の柱が増えた
パン屋は、「時間帯ごとに客層が変わる」のが特徴です。
朝セットをしっかり設計すると、
- 「朝はこのパン屋」と決めてくれるお客様が生まれる
- 毎日の数量が読みやすくなり、仕込みの精度が上がる
といった効果があります。
ポイントは、セット内容を欲張りすぎず、「これを買えば朝ごはんが一度に済む」というわかりやすさを優先することです。
成功事例10:パン福袋+次回クーポンの再訪設計

どんなイベントか
- 年末年始・周年祭などのタイミングで「パン福袋」を販売
- 中身は、食パン・菓子パン・総菜パン数点
何が起きたか
- 単価の高い「体験型商品」として人気に
- 福袋購入者の多くが、クーポンを使いに1〜2か月以内に再来店
- クーポン裏面にアンケートやSNS案内を付けることで、ファン化も進んだ
福袋は「在庫処分」として設計すると苦しくなりますが、「店の世界観をギュッと詰め込んだお楽しみセット」として企画すると、ブランド力の向上にもつながります。
大事なのは、
- 1回きりで終わらせず「毎年の恒例」に育てる意識
- その場で完結させず、「次回クーポン」で再訪を設計すること
売上だけでなく、「また次も楽しみだ」と感じてもらえるような中身と体験を意識してみてください。
販促イベントを「一度きり」で終わらせないために

ここまで10の成功事例を紹介しましたが、一番のポイントは「イベントを仕組みに変える」ことです。
- 毎月◯日は焼きたてフェス
- ◯月は地元コラボ月間
- 長期休みに子どもパン教室
- 雨の日はLINEクーポン配信
このように、カレンダーに“年間の販促イベントリズム”を書き込んでしまうと、「思いつきで動く」のではなく、準備と振り返りがしやすくなります。
数字を追う意味でも、「イベントごとに売上・客数・客単価のメモ」を残しておくと、翌年の改善に役立ちます。
「やって終わり」ではなく、「やる前にゴールを決める」、「やったあとに結果を振り返る」という小さなPDCAをまわすだけで、イベントの質はどんどん上がります。
まとめ:イベントは“店とお客の物語”を増やす時間

販促イベントというと、「売上を増やす施策」として語られがちですが、本質的には “店とお客様の物語を増やす時間” だと思っています。
- 子どもが初めて自分でこねたパン
- 雨の日にわざわざ来てくれた常連さん
- 推しの新作パンに投票してくれたお客様
- 食卓で「このパン屋さんのね」と会話になる瞬間
こうした一つひとつの体験の積み重ねが、「このパン屋じゃないとダメなんだよね」というブランド力をつくります。
いきなり10個すべてをやる必要はありません。
まずは、「これなら自分たちでも無理なくできそうだ」と感じたものを1つだけ選んでみてください。
小さく始め、少しずつ改善を重ねていけば、「イベントをやるたびに、常連さんの顔が増えていく」
という手応えをきっと感じられるはずです。
もし、「うちの場合はどれから始めるべきか?」と迷ったら、売上データ・来店データを見ながら一緒に設計することもできます。
あなたのパン屋の“らしさ”を活かした販促イベントを、一緒に組み立てていきましょう。
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この記事書いた人
BakeryBiz コンサルタント 山本 遼
(M&A・ブランド支援担当)
年商億規模のパン屋を経営し、事業売却を経験。
現在は全国のベーカリーを対象に、M&Aや事業承継を支援。
現場視点と実務知識を活かし、納得のいく譲渡をサポート。
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監修・執筆:BakeryBiz編集部
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